英検®1級(以下英検1級)のリーディング試験は、語彙問題22問、長文問題13問の計35問で構成されています。しかし、半分以上を占める語彙問題の難しさが多くの1級受験者を悩ませます。また後ろに控える長文問題もなかなかの難しさです。そんな英検1級のリーディングを攻略するための方法をこの記事では解説していきます。
※この記事は2024年の問題形式リニューアルを受けて内容を更新しています。
ちなみに私自身は1次試験は以下の通り、高得点で合格することが出来ました。この後2次試験で苦しめられることになりますが、それはまた別の記事で書くことに致します。
Contents
英検1級リーディングの形式
大問1
大問1は、語彙問題22問が出題されます。英検1級が難しいとされるのは大問1の単熟語のレベルの高さゆえであり、無対策で合格するのは極めて難しいと言わざるを得ません。
英検1級に出てくる単語の特徴として、英字新聞でよく見かけるもの、綴りなどが紛らわしいもの、異なる品詞の意味が問われるものなどが挙げられます。英検1級のリーディングは、おそらく英字新聞を辞書無しで読めることをゴールとして設定しており、大問1で満点を取れるくらいになると英字新聞も概ね辞書無しで意味を取れるようになります。(もちろん完璧ではありませんが。)
準1級に合格されたばかりの方が、1級の語彙問題で合格ラインを取るためには最低でも500時間程度の学習時間が必要になるのではないかと感じます。実際私は準1級は9割超えで合格しましたが、それでも1級の語彙学習には相当の時間を割きました。
大問2
大問2は、長文問題(空所補充)3問×2が出題されます。文量としては300〜400語程度の長文が多く出題されており、文字数的にはあまり恐れることはありません。また難易度的にも語彙問題ほど準1級との差を感じないと思います。英検の問題は、基本的にとても紛らわしかったり、文法的な誤りを含んだりする選択肢を出さないのであまり難しくならないのです。
大問2は特に分量も少なく、難易度も低いので、1級の中ではボーナスステージです。できるだけ満点を取れるようにしましょう。
大問3
大問3は、長文問題(内容理解)3問×1、4問×1が出題されます。文量としては約500語の長文と、最後は新聞形式で800語程度のものが1つ出題されます。
内容も一般的には難解ですが、取り上げられる分野の偏りなどから特に文系の学生が有利になりやすいと感じます。特に歴史的な背景がある話は、世界史を履修しており大まかな流れが頭に入っている方が有利です。一方、物理や化学等の理系的な内容は、用語が難しくなりすぎるため出題されにくい傾向にあります。生物は高度な内容が出題されることもあります。
1級リーディングの合格ライン
英検1級の全体の合格ラインは約7割とされており、リーディングパートでは35問中23問程度取れると合格にかなり近づきます。では、リーディングパートの最低合格ラインはというと、他の技能の点数にも依りますが、素点でおよそ17点程度です。(35問中の17問なので、正答率は50%以下。他技能で補う必要がありますが、最低この程度取れていないと合格がキツくなってきます。)
ただし、リスニングやライティングで満点を取れている場合など、他の技能の出来が良い場合は17点以下でも合格することは十分に可能です。2015年度以降は特にライティングの重要性が上がったと言われており、ライティングによる一発逆転現象が数多く報告されています。
ライティングの対策については以下の記事をご覧ください。※現在新形式対応準備中です。
1級リーディングの対策
リーディングの作戦としては大きく以下の2種類考えられます。
1つはできる限りリーディングから逃げて、リスニングとライティングで稼ぐという方法です。「リーディングの対策記事なのにおいおい・・・」と思われるかもしれませんが、海外経験があって英語の聞き取りや作文は大した苦ではないという方が1級合格だけを目指すのであれば、リーディング特に語彙問題の学習は最低限にして他で満点近くを狙うほうが圧倒的に楽だと思います。(それくらい1級のリスニングやライティングは他技能に比べるとかんたんです。)
2つ目は王道ですが、リスニングやライティングだけで合格ラインをもぎ取る自信の無い方はリーディングパートの語彙対策を行っていくことがおすすめです。リスニングや長文読解は、人によってはやり続けてもなかなか得点が伸びない方もいらっしゃいます。それに対して語彙は単純暗記ですので、毎日暗記の作業を行っていて最低限問題文を読み解ける力があれば得点源とすることができます。
要するに語彙問題と向き合わずに逃げ切れる人は逃げたほうが楽ですし、語彙問題25点分を落としてしまうことで不合格となるリスクがかなり上がるという人は語彙力をつけるためにみっちりと対策をする必要があるということです。
語彙問題の対策
語彙問題の対策は過去問に出た単語から覚えていくに限ります。英検はレベルを揃えるためにある一定の語彙を使いまわしてテストを作る傾向にあります。ですので、1級と言えども過去問で出てきた単語を完璧に覚えていれば、ほぼ満点に近い点数を取ることが出来ます。
また語彙を覚える際にはできるだけ語源やイメージ(画像)、語呂などと結びつけて覚えましょう。そうすることで記憶への定着が強力になり、一つ一つの単語を忘れにくくすることができます。
例えば、以下はtenetという単語の覚え方ですが、他の単語の元になっていることも分かります。語源を追っていけば、派生語を覚えやすくなり、結果的に多くの語を覚えられるようになります。
個人差はありますが、私は1級受験に当たって新しく2000語弱を覚える必要がありました。毎日10語ずつ確実に覚えたとしても200日かかります。しっかりと計画を立てて学習を進めることをおすすめします。
単語の暗記に関しては「Anki」というアプリがおすすめです。1級の単語を学習するために最適な環境を探し求めた結果行き着いたのがAnkiでした。
※Ankiについて詳しくは以下の記事に記載しています。
長文問題の対策
長文問題は普段からBBCやCNN、TIMESなど著名な海外ニュースサイトの記事を読む習慣をつけると一番良いのですが、1級の問題がまだ理解できないという受験者の方であれば、いきなり英字の記事を読むのは少々ハードルが高く感じるかもしれません。
長文問題の対策もおすすめは、やはり過去問演習です。さすがに全く同じ英文や問題は出てきませんが、英検特有の分野の選び方や質問の聞き方には傾向があります。1級の形式紹介でも述べた通り、分野は歴史や社会問題、生物、環境などが多く出題される傾向にあり、物理、化学、最新の時事問題などは出題が避けられやすい傾向にあります。また質問形式としては、本文中の内容を言い換えた選択肢を選ぶ形式のものが出されます。各選択肢はそれぞれ意味が大きく異なっており、些細なニュアンスの違いを問うようなものは出題されません。
後は問題を解いた後に精読を行ってみてください。例えば、私が受験時にやっていた方法は、以下のように分からなかった部分を赤字で書き足していき、文構造などややこしいところは自分なりに理解できるように記号などを使って書き表すというものでした。後から振り返って自分でわかる程度であれば、丁寧に色を付けたりマークを統一したりする必要はありません。
おすすめの教材
これまで主にどうやって1級リーディングの対策を行うのか"How"について話してきました。しかし、何を使って勉強すれば良いのか混乱してしまう方も少なくありません。実際私もはじめは何をしていいのかよく分からずに苦労しました。そこで、私が実際に購入・学習した教材をおすすめ順に並べて紹介します。
英検1級のリーディング対策におすすめの教材ダントツの第1位は過去問です。最新3回分の過去問は英検公式サイトに公開されています。それ以降の年度分はAmazonや楽天などで売られている過去年度の過去問を入手するしかありません。
続いておすすめの教材はこれもおなじみパス単1級です。ただし、2021年のリニューアル後レベルがかなり下がってしまったと言われています。ですので、1級の語彙で合格に必要な最低限のレベルを確認するための単語帳だと割り切って学習することを推奨します。
過去問をやって余力のある方や過去問の数が足りなくなってしまった方には、1級の予想問題もおすすめです。ただし手を出すのは、過去問の演習と復習が終わってからにしましょう。大半の1級予想問題は本番よりかんたんになってしまいがちですが、以下の予想問題は比較的レベルが1級本番に近く(それでもややかんたんですが)、力試しにちょうどよいと感じます。
奇しくも旺文社の教材ばかり購入してしまいましたが、旺文社の回し者ではありません。まずは過去問の演習と復習が何よりも大切です。時間を図って本番通りに解き、分からなかった箇所を復習することの繰り返しです。
まとめ
どんな試験も特有の癖があるように、英検1級にもかなり偏った癖があります。これから1級の勉強をはじめるあなたに向けて一番お伝えしたいことは、まず1級を知ることから始めてくださいということです。繰り返しになりますが、1級を知るためには1級の過去問を使った演習が一番であり、その演習と復習にできる限りの時間を割いてください。
弊塾「ポム英語学習教室」でも英検1級の過去問等を用いた授業を行っています。「過去問が手に入らない。解説が手に入らない。解説だけではよく分からない。」などのお声を伺うこともありますので、もし気になった方はお気軽にお問い合わせ&無料体験してみてください。
最後までお読み頂きありがとうございましたm(_ _)m