この記事に掲載されている情報は2024年度4月実施分の英検S-CBTまでの旧形式のものです。リニューアル後の新形式の情報については順次更新していきますので、いましばらくお待ち下さい。
英検®1級(以下、英検1級)の2次試験も終わり、一段落ついたのでまずはライティング対策の記事から書いていこうと思います。Twitterにも書きましたが、1次試験は高得点で合格することができました。
英検1級1次合格しました☺️
前回の悔しさをバネに毎日語彙の鍛錬を続けたお陰です!
Lは無対策、Wはほぼ無対策です。G1+10を目指してましたが、それは難しかったです。1級攻略のコツが今回ほぼ完全に掴めたので、記事にまとめようと思います。
特に英作文は付け焼き刃でもどうにかなりそうです😅 pic.twitter.com/f8wXGhonob— Ren Iwashita@英語学習 (@pom_iwashita) July 13, 2020
2級のライティングで満点近く、準1級のライティングで7割前後を得点できる方であれば、1級で最も対策が簡単な技能はライティングだと思います。1級受験者であれば、上記の条件を満たすことも容易いのではないかと思いますので、多くの方にとってライティングはコスパよく学習ができる狙い目の技能と言えます。
実際に私もライティングにかけた勉強時間は数時間程度で、試験直前に付け焼き刃程度にやったにすぎないレベルでした。しかし、試験本番では素点・CSEスコアとも8割超え(27/32)で、1級の合格者平均点を超えることができました。
今回は短い勉強時間で、1級のライティングを攻略するための方法についてまとめてみます。
Contents
出題形式を知る
まずはとても月並みな話からになりますが、英検1級のライティングは出題される型が決まっています。というか、英検のライティングは各級でパターンが決まっており、基本的に同じ形式の質問しかされません。
1級で代表的な出題形式を以下に例示します。
● Write an essay on the given TOPIC.
● Give THREE reasons to support your answer.
● Structure: introduction, main body, and conclusion
● Suggested length: 200-240 words
● Write your essay in the space provided on Side B of your answer sheet.
Any writing outside the space will not be graded.TOPIC
Is the Japanese government contributing to internationalization? (過去問を参考に作成)
TOPIC以外は英検1級の出題形式をそのまま真似て作りました。このようにTOPIC以外の条件は、例年変わることはありません。1級のポイントで言うと、以下の3つを押さえた答案が作れるか否かが得点を左右します。
・「導入→ボディ(意見+理由)→結論」の順序で構成すること。
・文字数は200文字〜240文字に収めること。
「解答用紙の定められた欄に記入すること」は当たり前すぎるので割愛しました。上記の条件は問題文に書いてあることですので、守れていなければ当然減点されても仕方ありません。なお、厳密には「導入→ボディ→結論」は順番まで指定されているわけではありませんが、まずこの順番で書いておけば問題ないでしょう。文字数は超過しても減点されなかったという声も聞きましたが、この文字数に収めて置くのが無難です。
テンプレートを用意しておく
平均的な英検1級受験者であれば、ライティングに割ける時間は通常35分前後ではないかと思います。35分の時間内で完全にゼロから自分の頭で考えて英文を書くことは結構難しいです。
これもまた既にいろいろなサイトで言われていることですが、ラクしたければテンプレートを用意しておきましょう。有料のテンプレなど買わなくても、ネット上に落ちているテンプレで十分です。ただし、対策本にも載っていたり、ネイティブチェックを受けたりしたものが望ましいです。
私がよくネット上で見かけて、実際に使っていたのは以下のテンプレです。
Although some say that (反対意見) I personally believe that (自分の意見).
I have following three reasons to support my idea.
どんな意見が来てもとりあえず、これで書いておけばOKです。満点は取れないかもしれませんが、少なくとも合格ラインに達するにはこれで十分です。
ウソを書く
知っている方からすれば当たり前なのですが、私が普段指導している生徒さんたちが最初にライティング対策を始める際に知らないことが多いので、書いておきます。
例えば、先程の問題 "Is the Japanese government contributing to internationalization?" に Yes の立場で答えるとしましょう。1個目の理由を「多額のお金を投資して、国際化に寄与するインフラを整備している = The Japanese government is investing a large amount of money to build an infrastructure which contributes to internationalization.」と書きました。この後に具体例が欲しくなりますが、いい例が思い浮かびません…どうしましょう??
「例えば、日本はアフリカの国々を始めとする発展途上国が空港を造るために昨年100億円の援助を行いました。= For example, Japan provided 10 billion yen to help African countries and other developing countries build airports last year.」
上記の文章は私が適当に思いついて作ったものですが、本当に100億も援助しているのか、そもそも日本がアフリカで空港を造ることを援助しているのかさえ知りません。でも良いのです。英語として正しければ、英検では1点も減点されません。
特に具体例や数字はでっち上げやすいところですので、自分の主張を通すために迷うことなくウソを書きましょう。なお、当然のことですが、論理破綻を起こすようなウソはダメです。南極は暑いとか、100℃あるとか言ってしまうと、地球ではないどこか別の星の話になってしまうので、通常の論理が成り立たなくなります。あくまで自分の論理をサポートするためにウソをつきましょう。
語彙洗浄
1級のライティングで重要なこと、それは英文の表現の質を1ランク上げる(=上がっているように見せかける)ことです。しかし、表現のランクがかんたんに上げられれば苦労しませんね。でもできるんです!!
1級を受験されるあなたなら、すでに基本的な文章であれば問題なく書けるはずです。あとは難しい単語を適切に使えればよいのですが、なかなか難しいですよね。そこでオススメしたいのが、一部分をちょっと改良する方式です。
例えば、何かの反対意見の根拠として "Investing in developing countries is very expensive." のような文章を書く機会があったとします。どこも間違っていない文章ですし、2級のライティングであれば十分満点が狙えそうな答案ですが、veryに注目してください。よくよく考えるとveryなんて中学1年生でも使えるわけです。"Thank you very much." とか "He runs very fast." とか。こういった利用頻度が高く汎用性の高い語をもう少し高尚な言葉にレベルアップさせると採点官に「お、こいつ英語出来るやつだな!」と思わせることができます。veryをextremelyに変えるだけでも語彙力のアピールが出来るわけです。
以下に、特にライティングでの利用頻度の高い語をまとめていますので、学習の参考にしてみて下さい。
very(とても)の言い換え
extremely, considerably, significantly, extraordinary, remarkably, exceptionally, incredibly, outstandingly, distinctly, exceedingly, excessively など
とてもの言い換えはとてもたくさんあります。自分の覚えやすいものを少なくとも3〜4個は覚えておいて、本番veryを書きたくなった時にグッとこらえて、これらの語を書きます。
もちろん細かいニュアンスの違い、コロケーションなどの問題はありますが、満点を目指すのでなければそこは完璧でなくとも構いません。
important(重要な)の言い換え
essential, crucial, critical, necessary, substantial, significant, fundamental, major, vital, decisive, meaningful, useful など
英作文をしていると主張をする場面で「〇〇がとても重要だ」と書きたくなることがあると思います。そういった場合にも、安易にimportantを用いるのではなく、上記のような少し洗練された語句を使いましょう。
unimportant(重要でない、ささいな)の言い換え
subtle, inessential, insignificant, meaningless, trivial, uncritical, minor, useless, unnecessary, unimportant など
1級の英作文では重要でないことに触れる余裕はないかもしれませんが、反対意見を取るに足らないことだと言いたいときなどに使える表現です。importantの語句に否定の接頭辞un-, in- をつけるだけで完成する表現も多いですね。
many(たくさんの)の言い換え
tons of, plenty of, a bunch of, a large amount of, a large number of, quite a few, an amount of, a deal of, a quantity of, a mass of
英作文で日頃からmanyを多用していませんか。上記の単語に取り替えるようにしてみましょう。
なお、tons of, plenty of, a bunch of, lots of, loads of = a lot of で不可算名詞・可算名詞どちらにも使えます。lots of, a lot of, loads ofはややインフォーマルなので、英作文では使わないほうが無難かなと思います。後ろに来る名詞が可算、不可算のどちらであるか考えなくてよいので、tons of, plenty of, a bunch ofは私もよく使う傾向にありました。
また、a large number of, quite a few = many となり、後ろに可算名詞を取ります。純粋にmanyの言い換えであれば、a large number ofを使うと良いでしょう。
a large amount of, an amount of, a deal of, a quantity of, a mass of はmuchの言い換えにあたります。ですので、後ろには不可算名詞を伴います。とくに a large amount of money はよく使う表現ですので、覚えて書けると良いでしょう。
1級受験者には当たり前すぎるかもしれませんが、緊張して間違わないように復習してみましょう。
few(少ない)の言い換え
a small number of, a fraction of, several, some, a minority of など
英作文で少ないことを強調したい場面は思ったより少ないかもしれませんが、上記のような代替表現があります。severalやsomeなどもfewに近いような形("Some people say ~. " (~のように言う人もいる))と使えるので、同じくくりで紹介しています。もちろんニュアンスなどに違いはあります。
good(よい)の言い換え
excellent, fantastic, incredible, marvelous, brilliant, magnificent, fabulous, breathtaking, divine, superb, impressive, flawless, favorable, amiable など
goodも英作文によく登場してしまう語の一つですが、連発すると何だかそれ以外に形容詞を知らない幼稚な印象を与えてしまいます。上記の単語に置き換えるとcleverな印象を与えられると思います。
bad(悪い)の言い換え
awful, evil, shocking, nasty, terrible, harmful, hateful, heinous, unpleasant, detrimental, horrible, disgusting など
awfulやterribleなどは口語でもよく使います。badだけではなく、状況に応じてこれらの語を使えるとmarvelousです。「有害な」という意味に近いbadは環境問題を語る時によく出現しますが、detrimental と言えるとfabulousです。
lack(不足)の言い換え
absence, dearth, loss, paucity, poverty, shortage, inadequacy など
超過(excess)について語ることは案外少ない反面、何かが足りないという状況の描写は割合頻繁に起こります。見出しにあげたlackも出てくれば十分ですが、lackばかりになっても困るので、dearthなども使えると良いでしょう。
want(〜したい)の言い換え
motivate, encourage, inspire, stimulate など
"It encouraged me to do something." のように motivate, encourage, inspire, stimulate 人 to do の形で使えます。これなにより英会話で活躍します。2次試験の面接でも、want to や would like toだらけになるよりもこういった表現を適宜使えたほうが良いと感じます。
反対に「〜したくない」という場合には、discourage, dissuade, dater from ~ing の形を使えると良いでしょう。
think(思う)の言い換え
believe, feel, reckon
It seems that, I would/I’d say
In my view, In my opinion など
feelやreckonは少し口語的なので、ライティングに使うのは避けたほうが無難かもしれませんが、色々と言い方がありますよね。thinkだけを多用していると語彙が乏しい印象を与えてしまいますので、ぜひ表現のバラエティを覚えて使ってみて下さい。採点官からの評価が上がるはずです。
無生物主語
1級を受験される方には釈迦に説法かと思いますが、「無生物主語」なるものがありました。
例えば、"Young people are exposed to a fictional world for a long time because of the Internet."という文章を書いたとしましょう。この文も間違いではないのですが、まだ何となく稚拙な感じがします。自分の書いた文が簡単すぎて何となく不安になるときは、無生物主語を持ってこれないか考えます。
上の例文を無生物主語に直してみましょう。
"The Internet has allowed young people to be exposed to an imaginary world for extended periods of time."
無生物主語以外の部分も少し手直ししましたが、上記のように書くとかなり英語ができそうな人が書いているように見えませんか。人ではなくモノを主語に取るというのは、特に堅い文章で起こりやすいので、ライティングにはぴったしです。
加えて、前の見出しで行った語彙洗浄で少しずつ語彙をレベルアップさせます。for a long timeはやや幼稚ですね。for extended periods of timeとできるとbetterです。
無生物主語ではencourageなども用いやすいです。一度、無生物主語の範囲を復習しておくと本番もスムーズに質の高い英文が書けると思います。
さいごに
ライティングで満点は目指さなくとも、今回お伝えしたポイントを守るだけで、合格ラインは超えられるはずです。1級を受験されるということは、これまでそれなりに英語を勉強されてきている証ですので、ちょっとした心構えだけでも点数は変わってくると思います。
実は私自身、初回受験時はライティングが7割に届いておらず、悔しい思いをしました。改めて短時間でできる対策を考えて臨んだ今回は冒頭に書いたとおり、合格者平均をを超えることができました。こんなに簡単に点数が上がるのなら付け焼き刃でも勉強やっておけば良かったなと思ったので、ライティング対策の記事としてまとめています。
是非参考にして、1級合格を掴み取って下さい!!