この記事を検索して見つけたあなたは、きっと過去の私のようにIELTSのリーディングでどうやってスコアを伸ばせばよいのか迷っているはずです。私は過去2回IELTSを受験して、リーディングは8.0と8.5と比較的高いスコアを取ることができました。今回はその経験からIELTSのリーディング対策について考えていきたいと思います。
※日本でIELTSを受験する方は大半が留学等を目的とするアカデミック・モジュールであるため、今回はアカデミック・モジュールでのリーディング対策について考察をしています。
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IELTSのリーディングとは?
一般的にIELTSという試験は、Reading<Listening<Speaking<<<Writingの順に難しくなるとされています。実際に公式に発表されているデータ(2018年アカデミック・モジュール)によると日本人の平均スコアは以下の通りとなっています。
Reading | Listening | Spaeking | Writing | Overall |
6.1 | 5.9 | 5.6 | 5.4 | 5.8 |
(参考:https://www.ielts.org/)
日本人の平均で唯一6.0を越えているのがReadingのスコアとなっており、日本人にとってはReadingが最も点数を取りやすいパートであることがわかります。もしも他の技能に比べてReadingスコアが低かったり、他技能と同じくらいだったりする場合はまずはReadingから対策することをおすすめします。
IELTSリーディングの形式
IELTSのリーディングは3つの大問で構成されており、合計60分の時間が与えられています。基本的には大問1が13問、大問2が13問、大問3が14問になることがほとんどです。大問1または大問2が14問になる場合もありますが、すべて合計して40問であることは変わりません。
IELTSの問題文中では各大問に20分ずつの時間をかけることを推奨していますが、実際は大問1<大問2<大問3の順に難しくなっていく(大問3は問題数も多い)ので、大問1は15分程度、大問2を18分程度、大問3を22分程度で解き、最後に見直しの時間を5分程度取れる時間配分が理想です。
IELTSリーディングの出題形式
IELTSのリーディングは「正誤問題、選択肢問題、段落合致問題、タイトル合致問題、図形穴埋め、文章穴埋め、要約穴埋め、短答問題」など様々な形式で出題がされます。
入試問題や英検などでよく出題される文法問題の出題はなく、すべて本文との情報の照らし合わせで答えることのできる問題です。したがって形式としては、共通テストの英語に近いものがあります。
正誤問題
代表的なものは「TRUE, FALSE, NOT GIVEN」から選ぶ正誤問題です。"NOT GIVEN"というのは本文中の情報からは判断ができない選択肢という意味です。NOT GIVENとFALSEの判別は難しいので、バンドスコアが7未満の方はまずはTRUEなのかFALSEなのかを本文中の情報から正しく判断できるようになりましょう。
問題によっては選択肢が「YES, NO, NOT GIVEN」に変わることがありますが、考え方は同じです。
"NOT GIVEN"というのは「与えられていない(情報)」という意味で、本文中の情報だけからは判断がつかない選択肢のことです。英語では難しいので、日本語で考えると例えば以下のような例が挙げられます。
【本文例】サッカーは世界でも人気のスポーツだが、野球はサッカーよりも人気のあるスポーツだ。
【選択肢例】野球は世界で一番人気のあるスポーツだ。
上の例はあえてかなりかんたんにしていますが、野球が「世界で一番人気のスポーツ」であるかどうかまでは本文だけからでは判断出来ません。つまり、一番人気かもしれないし、そうでないかもしれない。どちらの可能性も否定できないのです。こうした場合に、IELTSでは"NOT GIVEN"の選択肢を選びます。
選択肢問題
長文を読んでその内容に合致するものを選択肢の中から選ぶ形式です。受験問題や英検などでもおなじみの最もオーソドックスな問題です。IELTSで特徴的なのは、複数選択が可能であったり、選択肢の数がとても多かったりすることですが、ここで悩んであまり時間をかけすぎないようにすることが大切です。
段落合致問題
選択肢に書かれている情報が、どのパラグラフに書いてあったかを選ぶ問題です。段落ごとの話の展開を理解して、選択肢と照らし合わせる力が求められます。同じ選択肢を複数回利用することもよくあるため、消去法が使えない分、しっかりと本文を読み解く力が必要です。
タイトル合致問題
タイトル合致問題には大きく2パターンあり、1つはパッセージ全体のタイトルを選ぶもの、そしてもう1つは段落ごとに適切なタイトルを選ぶ形式のものがあります。いずれにしても時間がかかる問題形式なので、この形式の問題が出てきた際は時間配分に注意しましょう。
穴埋め短答問題
IELTSには実に様々な形式の穴埋め問題が出題されます。具体的には、図形穴埋め、文章穴埋め、要約穴埋め等の問題がありますが、特に注意したいのは図形穴埋め問題です。フローチャートや図表など多様な形式での出題があり、まずは図の中で情報がどのようにまとめられているかを理解する必要があります。
また穴埋め問題は必ずしも選択式ではなく、文章中から抜き出す形で短答形式で答えさせるものも存在します。IELTSにおいては定番の問題で、Listeningにもよく出題されます。Readingの場合は聞き逃しの心配はありませんので、制限語数の中で適切な内容を補うようにしましょう。
なお、必ず制限字数(例:NO MORE THAN TWO WORDS)を守る必要があるので、制限にも注意しましょう。
IELTSリーディング対策&勉強法
まずは本記事で説明したIELTSにどのような問題が出るのかを頭に入れてください。その上で現在のあなたのバンドスコア別に対策を考えていきましょう。ご自身のリーディングのバンドスコアが分からない方は以下の目安を参考にされてください。
・バンドスコア5:高校英語もなんとか理解はできる。英検2級程度。TOEIC500程度
・バンドスコア6:英検2級であれば何回受けても合格できるが、英検準1級はやや難しく感じる。TOEIC700程度
・バンドスコア7以上:英検準1級合格レベル以上。TOEIC800以上
バンドスコア4未満
IELTSのリーディングスコアで4未満であれば、IELTSの問題で確実に分かったと思えるものがほとんどない状態のはずです。いきなりIELTSの問題に取り組むのは難しいので、まずは高校英語で出てくる単語や表現を学習していきましょう。何からやったらよいか分からないという方は、英検準2級〜2級程度の単語帳から学習を始めると良いでしょう。
バンドスコア5
バンドスコア5の方は英語の最低限の基礎は身についていて、IELTSの長文の内容も何となく理解できるところがあるという状態でしょう。ただし、まだ語彙力の面で不足が大きい状態です。まず英検2級レベルの単語を覚えきった上で、IELTS用の単語帳にも挑戦してみましょう。語彙力をつけた後に、参考書または公式問題集で力をつけましょう。
バンドスコア6
IELTSの日本人受験者の平均程度のリーディング力を持っていて、平易な文章はほぼすべて理解できる力があります。ただし、IELTSに出てくるアカデミックな語彙には弱いところがあります。IELTS用の単語帳を用いて、知らない分野の語彙を強化していきましょう。その後は公式問題集を用いて演習を積むことをおすすめします。
バンドスコア7以上
このレベル帯に属する方であれば、自身の英語力をある程度把握できていると思いますが、IELTSの問題には難しく感じるものがあるはずです。特に語彙力に不足を感じている方以外は、公式問題集での演習を重ねることをオススメします。
私もIELTSに出てくる単語がある程度分かるようになった後は、ひたすら公式問題集を用いて本番に近い演習と自分の間違えた問題に対する分析に時間をかけました。なお、公式問題集については以下のおすすめ教材でも紹介をしています。
IELTSのおすすめ教材
リーディングスコア8.5を取った私が実際に利用して効果があったと感じた教材を中心に紹介します。
IELTS公式問題集
ケンブリッジ出版による唯一のIELTS公式問題集であり、これにまさる本番対策の問題集はありません。日本でも公式問題集として出ているものがありますが、ケンブリッジ出版の本物を購入することをおすすめします。
最も本番に近く作られており、IELTSの特徴を踏まえた学習ができます。リーディングだけではなく、他技能の問題も収録されています。やや価格が高いのが難点ですが、問題の質が素晴らしいので購入する価値は十分です。
IELTS完全対策&トリプル模試
日本語でIELTSがどういった試験であるのかを丁寧に説明しており、初心者向けの教材です。私も初めてIELTSを受ける際に購入して使っていました。高額になりがちなIELTS教材の中では安価で購入でき、解説も日本語で演習量も豊富なのでコストパフォーマンスはバツグンです。ただし問題の質ではどうしても公式問題集に劣るので、上級者の方は前述の公式問題集を購入することをおすすめします。
実践IELTS英単語3500
10年ほど前から発売されているIELTS対策用として有名な単語帳です。掲載単語がレベル別に分かれているので、バンドスコアが5.0程度の方から7.0以上の方まで広く使いやすい教材です。イギリス英語に慣れていない方は発音もイギリス式で記載されているので、IELTSのリスニング対策としても利用価値のある1冊です。
スコアに直結!IELTS徹底対策テキスト&問題集
個人的な利用経験はありませんが、気になっているのがこの本。IELTS講師として日本での勤務経験の長い、ニュージーランド人のケビン先生が書いており、丁寧な解説が好評のようです。本の内容としては、IELTS完全対策&トリプル模試に近いようですが、自分に合う方を購入してみてもいいかもしれません。
バンドスコアと正解数の関連
IELTSでは正解数(素点)とバンドスコアが連動しており、以下のように定められています。
例えば、バンドスコア7.0を取ろうとしたら10問間違いまでしか許されないということになります。逆に言えば、10問間違えても7.0は取れるので、ぜひここでスコアを稼ぎたいところです。
IELTSリーディングで気になるポイント
リーディングの回答方法で私が以前よく分からなくて困ったことなどをまとめています。参考にしてみてください。
Q1. FALSEやTRUEなどを小文字で書いてしまいました。減点になってしまいますか?
IELTSでは大文字と小文字の区別はつけません。falseでもFalseでもFALSEでも正解ということになります。またTRUE, FALSEに限らず、人名や地名など本来大文字にすべき固有名詞でも小文字にした際の減点はありません。
Q2. スペルミスをしてしまいましたが、部分点はもらえますか?
IELTSではスペルミスによる部分点の加点はありません。よって残念ながら、不正解となります。ただし、color/colourやcenter/centreなど、米英の表記の違いに起因するスペルの違いは許容することとなっています。(米英どちらのスペルで書いても正解です。)
Q3. 指定字数を超えましたが、内容的にはあっています。部分点はもらえますか?
指定字数をオーバーした場合には、どんなに内容が正しくとも、加点はありません。
Q4. 空所に不要なものまで書いてしまいましたが、正解になりますか?
例えば、空所直前に"under the"と書いてあり、空所に"table"を入れるべきだったとしましょう。こうした場合に答えに"under the table"と書いてしまうと不正解となります。
Q5. 数字は英語とローマ数字どちらで書けば良いですか?
どちらでも大丈夫ですが、英語で書いてスペルミスをした場合には不正解となります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。この記事ではIELTSのリーディング対策について書いてみました。初めて受験される方も自己ベスト更新を目指して何回も受けている方も一度ご自身の勉強スタイルを見直して、自分にとって最高のバンドスコアが取れるように考えてみましょう。