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こんにちは、みるです。
英語の論文って読むのが面倒と思っていませんか?
でも科学者たるもの、新しい情報も仕入れたいですよね。
今回は自分にとって読む必要がある理系英語論文を探す方法、そして効率的に読む方法をご紹介します。

余談ですが、なぜ私がこんなテーマで記事を書こうと思ったかというと、学生時代(薬学部と大学院)にたくさん論文を読んで大変だったからです(笑)
論文を読むのって新たな知見を得ることができて面白いけれど、なかには信じていいのかあやふやだったり、結論への持って行き方が不適切なものがありますよね。
会社でも論文を読むことがあるのですが、必要な情報を効率よく取ってくることが大事だと思いました。
困っている方のお役に立てれば嬉しいです。

基礎知識

basic

論文の種類と学術雑誌のスコア

論文の種類
論文にはざっくり分けて2種類あります。
一つは新しい事実や知見を公表するための普通の論文、もう一つは複数の論文をまとめて考察するレビュー論文(Review)というものです。
レビュー論文は、もとの論文と全く関係ない方が書いていることが多いですが、内容が偏る可能性も大いにあるので注意したいところです。
とはいえ、いままでの説をまとめてくれていたり、自分が見るべき論文を自ずと教えてくれるので便利です。

次に知っていてほしいのが、学術雑誌のスコア、その学術雑誌の影響度を表す数値についてです。
私の学生時代は、インパクトファクターやh指数が主な指標でした。
でも最近新たな概念が出てきたようなので併せて紹介します。

従来の指標
インパクトファクター(IF)
自然科学分野や社会科学分野の学術雑誌が、引用された頻度を測る指標
h指数
投稿した論文数と引用された数をもとに、研究への貢献度を示すもの。
「その研究者が投稿した論文のうち、引用された回数がh回以上であるものがh本以上あることを満たすような最大の数」。
例えばh指数が10なら、引用された回数が10回の論文が10本以上あるが、11回の論文は10本以下であるということです。
従来の指標の問題点
  • IFは、あくまで雑誌の評価であり、研究者や論文の内容の評価でない
  • h指数は、同じような研究者から評価されているか、という点についてしかわからない。
  • 論文が引用されるまでにはタイムラグが生じる
新しい指標の概念
オルトメトリクス(Altmetrics)
alternative(代わりの、伝統から外れた)+metrics(測定基準)の造語で、ウェブ上でのSNS等の反応・反響から記事の影響度を測ろうとする手法
タイムラグが生じにくく、一般人からの評価も入るというメリットがある一方、一般人受けしやすい記事が評価されやすいという懸念もあるようです。なかなか完璧な方法を見つけるのは難しそうですね。

論文を検索するところ

ここからは、理系論文を検索するのに便利な論文検索サイトをご紹介します。

  • PubMed

利用時登録不要

PubMedは、NLM(米国国立医学図書館)内のNCBI(国立生物科学情報センター)が作成しているデータベースです。世界の主要な医学系雑誌等に掲載された文献を検索することができます。
抄録を閲覧したり、全文を入手できる場合もあります。
PubMedのサイトはこちら

  • SciFinder

利用時要登録

CASが提供している、化学分野を中心としたデータベースです。
過去200年間に投稿された特許なども含む科学関連文献を検索することができます。
化学物質名、化学構造、反応、DOI、その他文献情報による検索も可能です。
DOIとは、Digital Object Identifierの略で、文献1つに対して付けられている1つのコードのことです。

利用には登録が必要です。
学生の場合大学が、社会人の場合会社が包括契約していることが多いので、担当部署に確認してみてもいいでしょう。
Scifinderのサイトはこちら

  • Google Scholar

利用時登録不要

あのGoogleが提供する文献検索サービスです。
画面は普通のGoogle検索とあまり変わりませんが、ネット上のいろいろなところにある同一の論文をまとめて表示してくれるので、重複が少ないことが特徴です。
ちなみに、トップページに書いてある「巨人の肩の上に立つ」(standing on the shoulders of Giants)とは、哲学者シャルトルのベルナールの言葉とされていて、先人達が積み重ねた発見に基づいて何かを発見することを指すそうです。
まさに文献から知識を得て新しいことを発見しようとするこのサイトにふさわしいというわけですね。
Google Scholarのサイトはこちら

検索ワードの設定のコツ

いざ、論文を検索してみようとしたけど、いい検索ワードが思いつかない、というあなたのために検索ワードの設定のコツを教えます!

  • 表記ゆれを念頭に、ワードの言いかえを考えてみる。

例)α→alpha/a、PD→Parkinson's disease

  • わざと関連なさそうなワードを入れてみる

最近の面白そうな説を探してみるならこれ。あえて他の研究のワードを自分の検索ワードと組み合わせてみるやり方です。恐らく検索時点で有力なものはなかなかないと思いますが、新しい可能性に気づかせてくれるかも。

  • 検索ワードを日本語で探してそれを英語に訳して検索する

英語を勉強しているとは言っても、やはり日本語のほうが理解しやすいもの。まずは最低限の日本語のワードで文献検索し、これだ!と思ったものを英訳して検索するのも手です。

日本語の論文を探すのにおすすめなのがCiNii登録不要で利用できます。

論文を読み始める前にここをチェック

beforestart

ここからは、論文を読み始める前に気を付けたいポイントを紹介します。

論文の種類、著者、所属を確認する

まず、前項で述べた論文の種類(レビューかどうか)と学術雑誌を確認します。
雑誌のスコアに関しては先述のようになかなか評価が難しいのですが、あまりに怪しい感じの雑誌に載っている論文は読む価値がない論文であるリスクがどうしても大きくなります。
雑誌の査読がしっかりしていない恐れもあります。
なので、読むなということではなくて、読み始める前にチェックしておきましょう。
読んでいてなにか変だと思ったときに引き返せます(笑)

なんだか同じような論文、前にも読んだことある気がするな...と思っていたら、実は同じ団体だった!とか続きの論文だった!なんてこと結構あります。
しっかり読む前にその辺り整理しておきたいですよね。
とはいえ、1つの論文にたくさんの人が関わっていることもあるので、著者の名前をいちいち覚えてもいられない...そんな時は所属を確認しておきましょう。
○○大学の人たち、とか△△株式会社の研究だとか、それくらいで大丈夫です。

抄録と結論を読む

抄録とは、いわゆる要旨、abstractのことです。
ここにその論文の研究のまとめが入っています。
まずは抄録を確認して、論文全体の内容をつかみましょう。

抄録を読んだら、普通に本文に入りたくなりますが、ちょっとこらえて次に結論、Conclusionを読みます。
なぜなら、結局研究してどんな結論が出たのか私たちが一番知りたいからです。
途中のデータはとても大事ですが、結論を裏付けるものでしかないのです。

ざっと読むくらいであれば、ここまでの情報があれば大丈夫です。
もっと知りたいと思えば本文から改めて読むもよし、他の文献も読みたいからここで止めておくもよし。
状況に合わせて判断してみてくださいね。

注意したいこと

attention

ここからは、今からちゃんと本文読みます!という時に気を付けてほしいポイントをまとめました。

実験条件の記載はあるか

実験系の論文では、どういう条件でその実験をしたかということも大事な情報です。
特に自分が同じような実験をしていて、真似(トレース)をしたい時は必須です。
ただ、その辺りの記載がわざとなのか抜けてしまったのか適当なものが結構あります。
必要な情報がそろっているか確認しましょう。

例えばこんなところに気を付けよう
・○○ μg/mLの溶液を使いました
→どれくらい使ったのか、何の溶液なのか不明
・反応させたいものと溶媒を△:□で加えて熱をかけたら反応が進みました
→化学合成ではスケールが違うと反応が全く進まないこともあるので比率での記載の時はマネできるか怪しい、何度の熱でかけて何時間で反応が終わったのか目安がほしい 

他の論文の続きではないか

今自分が読もうとしている論文が他の論文の続きではないか、確認するのも大事なことです。
多くの場合、Introductionのところに、「我々はいままでこういう研究をしてこういう結果を得た」みたいな書き方をしていることが多いです。引用の番号が振ってあると思うので、それと併せて読むことをおすすめします。
また、Introductionの引用が著者(もしくは身内)の引用だらけの場合は、あまりメジャーな主張ではないということがわかります。

逆に、今自分が読もうとしている論文が最新版ではない可能性もあるわけです。
この場合、最新版を引用しているはずはないので、逆にこの論文が引用されている論文で探すか、著者で探すのが楽だと思います。
その場合、登録してあればSciFinderが便利です。

チャンピオンデータに注意

champion

突然ですが、チャンピオンデータって聞いたことありますか?
簡単に言うと、すごくよく見えるデータ、一番いいデータのことです。
著者の主張に合ったきれいなデータですが、それが再現性のあるデータとは限りません。
本来はデータは主張のために造られてはいけないですし、それは誰もが押さえていてほしいことなのですが、そういう現実もあるということを知っておいてください。

例えば、データを見て実験をトレースしようとしてもいくらやってもうまくいかない時があります。
それがチャンピオンデータだったとしたら...というのも可能性の一つとして頭に入れておいてもらえるといいかなと思います。

データに不可解な点がないか

科学者である以上、せっかく読んでいる論文も「本当かな?」と疑って読んでみてください(笑)
エラーバーついてるのにn=2だったり、明らかに有意差ついてないのに有意差マークついてたり、生データの値を出さずに%表示にしていたり...いろいろあります。
素直な心も大事にしてほしいですが、怪しいデータにはくれぐれも注意してくださいね。

商業的な意味が存在するか

commercial

前項で本文を読み始める前に「所属」を確認しましょうというお話をしました。
企業の人が共同著者、共同研究者になっている場合、自社の製品をより良くアピールするためのデータが揃っていることがあります。

データが正しいものであれば、商業的な意味があってもいいのですが、問題は隠されたデータがないかどうか、ということです。
例えばAとBという製品を比べ、Aを優位にしたい時にBが有利なデータを出すでしょうか。
もちろんすべての論文がそうというわけではありませんが、企業がらみの論文を読んだときに別のデータが存在する可能性も少し考えてみてください。

そもそも理論が成り立っているか

データも、そのデータの解釈も問題なさそうだということは確認した。
でも結論が強引じゃない?っていうこともあります。
理論のヌケに著者が気づかなかったかもしれないですね。
そういうときは、どういうデータが追加であったら、もしくはどういう実験をしたら、この結論が言えるのかを考えてみましょう。
自分が論文を書くときの練習にもなりますよ。

まとめ

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今回は、論文の種類、自分の欲しい情報の探し方、効率的な読み方、そして本格的に読み込むときの注意点についてご紹介しました。
英語の論文は、専門用語さえ覚えてしまえば単語も決まったものが多く、経験を積めば積むほど読むのが楽になってくるはずです。
科学者としての視点を忘れず、効率的に情報を探していきましょう!

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